初めての出会いなのに、
何故か懐かしい「ギャッベ絨毯」への誘い
絨毯といえば興味はあっても高価で手の届かないものと思っている方が多いと思います。イラン南東部地域に暮らすカシュガィ遊牧民女性が織るギャッベ絨毯についてお伝えします。
ギャッベ絨毯は家で使う家具の一つです。家具調度を選ぶ際デザイン、価格などを考えながら堅牢で一生涯使え、使うほどに味わいが深まっていくものを念頭に整えていきます。
伝統のペルシャ絨毯に比べ、ギャッベ絨毯の価格は比較的もとめやすく、ミドルクラスの経済力を持ち、好奇心旺盛な人が好む絨毯と言われています。
ペルシャ絨毯を「都市の絨毯」、ギャッベは「山の絨毯」とイメージすれば良いと思います。ギャッベは何代にもわたって使い続けることが出来る100%ウールの堅牢な絨毯です。
ギャッベは家の中に彩りを与えてくれ、心の中に幸福感を満たしてくれます。
他の家具調度にはない不思議な力を持っています。
ギャッベのルーツはカシュガィ女性の嫁入り道具として、自分で織り上げたものを持参する伝統に起因します。新しい生活の幸せを願って織られた絨毯です。
ギャッベとはカシュガィ遊牧民の言語で「編み目の粗い敷物」の語彙から由来しています。
私たちは、どこの誰が、どんな思いで織ったのかという証が大切であると考えています。人生という長い歴史を刻みながら暮らす中で、氏素性が明確に語られる物を身近に置く生活、小さな手の届く贅沢です。
2024年3月
高原アートギャラリー八ヶ岳館長 向村春樹
絨毯用ウールとしては、イラン北東部クルデスタン地方のクルド遊牧民の飼育する羊が一番です。
織り機は地面に水平に置かれ、全て手仕事でギャッベは織られていく。
畳一枚程度の大きさで、織りに2ヶ月、洗いと仕上げに1ヶ月。
コロナ禍で訪れることが叶わなかったカシュガィの居住エリアで撮影する向村です。
春に刈り取られたウールは手紡ぎ糸に加工され、カミヤヤランの糸屋に集荷される。
シラーズにある絨毯商の染色場で染められた糸は、100kmほど南で暮らすカシュガィ女性へ。絨毯の品質に応じた糸を渡される。
カシュガィ遊牧民はカシュクリ、アマレ、シシブルキ、ダルシュリ、フェルシマダンの5部族の連合体。
この内フェルシマダンはキリムが主でギャッベはあまり見るものがありません。
その他、紀元前からこの地に暮らしていたルリ族のオールドも含まれます。
カシュクリ族
ギャッベの織り手としてはカシュガイの中で一番といわれる。紀元前から伝承されている生命の樹の文様を大胆に織り込んだギャッベや、菱形の文様トランジが3連に連なったデザインが魅力的。カシュクリ族の織り手は技術が高いことから、上級クラスのギャッベを生産する人が多いようだ。
アマレ族
カシュガイ遊牧民の中で最大勢力。ギャッベの生産枚数も多く、融通がきく多様性を持つ人が多いと感じる。アマレの伝統文様は2頭のライオンと、正面を向いた羊を入れたもの、天地に大きく「矢」をイメージした絵柄などが特徴。
シシブルキ族
5部族の中で最も人柄の良さを感じるのがシシブルキ族。伝統的絵柄の「シシブルキライオン」は、間抜け顔の2頭のライオンが向き合う、力の抜けたほのぼのとした感じが魅力のギャッベ。50年以上前に織られたオールドには魅力的な逸品が多く見られる。
ダルシュリ族
家族意識は、5部族の中では群を抜いて強い。教育熱心な部族で、子どもたちの多くは親から離れて村に住み、より充実した学校に通うようである。躍動感のある「ダルシェリライオン」のデザインが有名。それに馬や鳥の雉きじなどの絵柄が特徴的。
フェルシマダン族
カシュガイの中では定住化が早くから進み、多くがカザルーン周辺の村に暮らしている部族。垢抜けたセンスを持ち、定住化という新しい風を早く取り入れるような気質のある部族だと感じる。ギャッベはもちろん、モダンな平織りのキリムを得意としている。絨毯商とのコラボ生産のキリムはハイセンスなできばえで、伝統的なカシュガイキリムとは一線を画する。
お店で目にするギャッベの大半が、ギャッベ絨毯商とカシュガィ遊牧民女性とのコラボレーションから生まれます。私たちのファーハディアンギャッベは、カシュガィ遊牧民の感性豊かな織り手の生活を守り、継続して仕事を発注する絨毯商です。
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アートG館長 向村春樹が20年にわたり現地を取材
見て、感じて、撮影したギャッベの世界
全192p
オールカラー
サイズ(縦247×横182)
版元:ART G Publishing
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