家族への思いが文様に込めれた
「はじめてなのに懐かしさのある絨毯」
イランのカシュガイ遊牧民が織る手織り絨毯をギャッベと呼びます。Gabbehという言葉は、トルコ語系のペルシャ語を話す彼らの言葉で「織り目の荒い敷物」を意味します。
ギャッベを織るカシュガイ族の女性は、結婚するときに、
自分が織った2枚から3枚のギャッベを花嫁道具として持って嫁ぎます。女性は、この絨毯の上で過ごす家族の幸せを願う文様を、ギャッベに織り込むのです。
「遊牧民の誇りを忘れずに生きていけますように」「水に困りませんように」「子どもに恵まれますように」。ひとつひとつの文様がそんな願いを込めた文様です。
家族を思う気持ちは、どんな時代もどこに住んでいる人でも共通な思いです。ギャッベに初めて出会った人が「初めてなのに、なぜか懐かしいように感じる」のも、そんなギャッベの成り立ちからきているのかもしれません。