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過去の展覧会2023年 秋冬の展示 原点回帰、ザクロス・ギャッベ展
会期:2023.10.01-11.26
館長 向村春樹からのご挨拶
9月上旬に1年ぶりにイランを取材してきました。編集の片岡弘子との強行日程の短い旅でしたが、ご報告できる内容の多い動画取材となりました。
私たちがご紹介しているイランのファーハディアン社で、この秋から「ザクロス・ギャッベ」という商標で、新しいギャッベが展開されました。この「ザクロス・ギャッベ」がこれまでのギャッベとどう違うのか、何を提案しているのかを、この目でしっかり確かめる目的の取材ができました。これは、ギャッベに半生を捧げてきた一人の男の生き様を皆様に伝えていく結果になりました。
男の名前は、ファラジ・ファーハディアン、81歳。ギャッベの供給元ファーハディアン社の当主で生産管理を統括、父親の代からの絨毯ビジネスを継いで65年になります。ギャッベに参入して35年。この間、カシュガイ遊牧民の素朴なギャッベ絨毯を世界で通用する高品質の絨毯へと引き上げる努力を重ねてきた人です。
彼が「ギャッベの原点に立ち還る」ことを決めた、新しい試み 「ザクロス・ギャッベ」。この秋、高原アートギャラリーにも入荷しております。その優しい感触、お楽しみください。(YouTubeで取材内容を、ぜひご覧いただければ幸いです)
ファラジ氏が追求してきた「最高峰」
ファラジ氏はギャッベに参入した当時、カシュガイ遊牧民が素晴らしい感性で織り上げるギャッベが、羊毛の品質があまりよくないために、「良質な絨毯」という評価を得られないことを嘆きました。そこで、イラン北西部のクルデスタン地方の最上質のクルドウールを初めてギャッベに使用。しかし、最高品質を求めれば必然とギャッベの価格は高くなり、ギャッベのファン層であるミドルクラスの好奇心の強い人たちの手の届かない絨毯となっていきました。

ギャッベの原点に立ち還る
ファラジ氏は 「品質を維持しつつ、価格的に求めやすいギャッベを生産できないだろうか」と考えました。その結果、クルドウールの中でも白く輝く高品質な羊毛ではなく、生産量の多い比較的価格の安い、太めのクルドウールを使い、そのウールに適合した染料の配合を開発して染色。クルドウールの特徴である優しい触感をもつギャッベの生産に踏み出しました。そして、これを「ザクロス・ギャッベ」と名づけました。太い糸で悠々としたデザインは、ギャッベがもつ本来の素朴な温かみを宿しています。


INFORMATION
2023年 秋冬の展示 原点回帰、ザクロス・ギャッベ展
- 会期:2023.10.01-11.26
- 会場:高原アートギャラリー八ヶ岳 〒409-1502 山梨県北杜市大泉町谷戸7742-2 [MAP]
- 電話:0551-38-0866 開館時間:土・日・祝日開館 休館日:月~金
- URL:https://www.will-artg.com/